意外と知られていないランドセル誕生の歴史

 

4月の入学式を迎え、小さな体の小学校1年生のお子さんが大きなランドセルを背負って歩く姿は大変そうですが、とてもかわいらしいですよね。

 

一昔前までは赤や黒のシンプルなランドセルしか見なかったのですが、最近ではカラーバリエーションが豊富になり、デザインや装飾まで凝ったものが施されたものが増えてきました。

 

意外と知られていない歴史として、ランドセルがどのように生まれて、どのように浸透していったのかをここでは紹介します。

 

ランドセルの始まりは軍隊で活用された布製の背のうだった!

ランドセル誕生の歴史は、江戸時代にまでさかのぼり、幕末に当時の幕府が洋式の軍隊制度を導入するときに、オランダから来た布製の背のうを利用したことがランドセルの始まりだとされています。

 

そして、ランドセルの発祥となっているのが、明治10年10月に開校した学習院です。しかし、通学するときに家庭環境によって差が出てしまうことから、明治18年に

 

「学校では皆平等、家庭環境を教育の場に持ち込むのはいけない」との理念のもと、「学用品は自分の手でもってくるべき」

 

として、馬車や人力車での登校を禁止し、徒歩通学を義務付けるようになりました。
そのときに採用されたのが、持ち運びの利便性が良かった軍隊用の背のうです。
背のうはオランダ語で「ransel(ランセル)」と呼ばれており、この言葉がなまって「ランドセル」という言葉になったと言われています。

 

箱型の通学かばん「学習院型ランドセル」の誕生

国ごとに通学に使用される鞄はさまざまな形のものがありますが、ランドセルの形は日本独自のものです。

 

学習院で採用されることになったリュックサックに近い形の背のうですが、明治20年に大正天皇の学習院ご入学のお祝いとして、当時の内閣総理大臣だった伊藤博文が箱型の通学かばんを献上しました。これがランドセルの現在の形の始まりだとされています。

 

 

※出典:一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会

 

そして、明治23年には素材が黒革になり、明治30年には細かい形状や寸法なども統一されて「学習院型」が完成し、現在もこの基本的なスタイルが引き継がれているというのはすごいことです。

 

ちなみに、ランドセルが黒と赤が選ばれていた理由には、当時の染色技術ではムラなく染色することがとても難しく、比較的にうまく染めることができたのが黒と赤だったという説と、単純に男の子は黒、女の子は赤と簡単に見分けることができるようにわかりやすい色にしたという説があるようです。

 

時代が見える歴代のランドセル

明治時代にランドセルの基本的なスタイルができましたが、ランドセルは昭和の初め頃までは使用率が1割程度と、当時の上流階級の子しか持つことができず、一般的にこの時代は風呂敷や白い帆布の斜めがけの鞄で登校する子供が多かったようです。

 

戦後まもない時期に作られたブリキのランドセルは、戦争によって皮革の確保が困難となり、当時は革製は高価だったことからブリキ製のものや紙製のものが作られていたこともありました。紙製ランドセルは雨が降った場合の心配をしなければならないものでした。

 

ランドセルが一般的に広まったのは戦後、昭和20年代に入って革が手に入りやすくなると、江戸時代の馬具職人が革を使ったかばん作りを始めたりと、各地で鞄職人が増えてきてランドセルも多く作られるようになりました。

 

 

ランドセルのカブセの部分に野球やお花の絵が入ったおしゃれなデザインの大きな絵柄が描かれるようになりました。また、豚革だったものが高級な牛革で作られるようになり、年を追うごとに高級化していきました。

 

 

※出典画像:一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会

 

ランドセルが作られるようになってから100年以上経過しても、現在も基本的なスタイルは変わっていないことに驚きです。現在のランドセルはとてもカラーバリエーションや素材も豊富にあり、丈夫で汚れや水にも強いものが多くなり、ランドセルの性能の良さがどんどんよくなっていることがわかります。

 

大きさが変わっていったランドセルの歴史

 

昭和20年代のランドセルは現在のサイズよりも小さく、A5サイズの教科書が入るように作られていました。それが昭和の後半になるとB5サイズの教科書が入るものになりました。そして、平成になりA4サイズの教科書が入るものになり、現在、主流となっているランドセルのサイズは、大容量のA4フラットファイルが収納できるサイズのものになりました。

 

現在のランドセルの重さは、クラリーノが約1100g、本革でも約1300gのものが多く、ランドセルが一般に普及し始めた昭和30年代のランドセルは、今より小さかったにもかかわらず、重量が平均して約1600gだったとい言われています。

 

ランドセルの軽量化や背負いやすい工夫、機能性など、現在のランドセルはお子さんの体に負担がかからないような工夫がされた背負いやすいランドセルになっています。

 

また、政府はデジタル教科書に2024年から本格導入開始することを予定しており、最近では授業にタブレット端末を活用している学校が増えてきています。

 

全国の学校でタブレット端末の配布や購入をすることになり、毎日の登下校でタブレットをランドセルに入れて持ち運ぶということもあり、現在は大容量ランドセルというだけではなく、各メーカーや工房でタブレット端末収納に対応したモデルや、タブレットケースをセットにしているモデルなどが発売されてきています。

 

 

タブレット収納に対応したランドセルや、軽いのに大容量のランドセルについて詳しい情報を知りたい方は、
タブレット収納に対応したランドセルとは?大容量ランドセルならタブレットは入る?
軽くて大容量のランドセルを選ぶときのポイントとおすすめ人気ランキング
を参考にしてみてください。

 

 

カラーバリエーションが豊富になったきっかけとは?

 

ランドセルの人工皮革といえば「クラリーノ」ですが、1964年(昭和39年)にクラレが世界初の人工皮革「クラリーノ」を開発しました。1970年(昭和45年)には、ランドセルの素材として使用されるようになり、現在購入されているランドセルのシェア率は、人工皮革が約70%、本革が30%となっています。

 

昔は天然皮革だけだったランドセルも、現在では人工皮革のものが増え、軽くて高品質なものが開発されたこともあり、たくさんのカラーバリエーションが可能になり、とてもカラフルなランドセルが増えて選ぶのが楽しくなりました。

 

ひと昔前はランドセルのカラーは、男の子は黒、女の子は赤というのが定番だったため、たくさんのカラーバリエーションを展開しているメーカーはあまりありませんでした。

 

では、一体いつから現在のような豊富なカラーバリエーションになったのかというと、2001年にイオンが独自のブランドとして24色のランドセルが発売されましたが、発売された当時は、定番の黒と赤からなかなか抜け出すことができず、カラフルな色のランドセルを使用しているお子さんはごくわずかでした。

 

現在は選ぶカラーもお子さんの個性とされますが、当時は周りのお子さんと違う色のランドセルを持たせることによって、いじめに繋がってしまうのではないかと心配する親御さんも多かったようです。

 

まとめ

現在のランドセルは、デザインだけではなく丈夫さ、背負いやすさの工夫、安全面などが、各ランドセルメーカーによって改良が重ねられており、品質がよく高機能なランドセルが増えてきました。

 

オランダの影響を受けて誕生したランドセルですが、現在では通学用カバンとして約130年の年月のなかで、多くの技術者からの伝統がしっかりと受け継がれてランドセルが作られています。

 

お子さんだけではなく、親子そろってお気に入りになるような歴史のつまった素敵なランドセルを選びたいですね。